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会社(法人)破産で経営者個人の財産を失わないためにすべきこと

カテゴリ
2014/07/07(月) 14:03:39

1.経営者個人の財産の取り扱い

会社の代表者が自己破産を申し立てる場合、一定の財産を手元に残しておけることは、以下のページで解説したとおりです。

それ以外の経営者の財産は、破産管財人によって換価され、配当の原資となります。これに対し、他の人の財産は、当然のことながら、保証をしている等の事情がない限り、経営者の破産手続には何ら影響されず保持できます。このことは、経営者と生計を同じくする家族の方であっても同様です。

しかしながら、実質的には経営者の財産でないものであっても、経営者名義となっている財産については、破産手続内で処分されるおそれがありますので、注意が必要です。具体的には、保険契約や、銀行等の預金について、経営者以外の方が掛金の支払いや現金の預入れを行ってきたとしても、その名義が経営者であれば、経営者の資産として扱われてしまう場合があるということです。

実際に経済的な負担をした方がその財産の持ち主であるというのが常識的な感覚に近いと思われますが、破産手続においては、名義という形式面が重視される傾向にあります。したがって、経営者名義の資産を換価されないよう管財人、ひいては裁判所に納得してもらうには、他の方が経済的負担をしてきたことの証拠を提出する等、大変な苦労を強いられることになります。

このように、実質的には他人のものであっても、経営者名義の資産がある場合には、破産申立てまでにどのように処理しておくべきか、慎重に検討する必要があります。もっとも、そのような財産があることを経営者が全く知らされておらず、破産手続開始後、郵便物が管財人に転送され、管財人から指摘を受けることで初めて気付くというケースもままあります。このようなケースでは、申立代理人と協力し、上記のとおり経済的負担をしたのが経営者でないことを、なるべく客観的な資料を元に管財人に説明し、当該財産を換価の対象から外してもらうよう働きかけることが重要となります。

2.経営者名義の資産の存在を、破産管財人から指摘された場合の対応

問題となる財産は、経営者(以下「Aさん」といいます。)のご子息の学資保険でした。申立前の打合せ段階では、Aさんからのヒアリングにより個人の資産を把握しましたが、ご自身の名義で学資保険の契約が行われていることを、Aさんは全く知りませんでした。実際に窓口に行って学資保険の契約していたのはAさんの奧さんであり、Aさんには秘密にしたままで、保険料の支払いをしてきたからです。

このような経緯で、学資保険の契約を資産目録に記載しないまま、破産手続が開始されました。その後、保険会社からの通知が管財人に転送されることにより、Aさんの名義で学資保険の契約がされていることが明らかになったのです。

管財人からすれば、Aさんが財産を隠匿していたとも思われる事態です。もしそうだとすれば、免責不許可事由に該当したり、詐欺破産罪として処罰されたりするおそれもあります。そこで、奧さんに上記のような事情を確認した上で、財産の隠匿をする意図はなかったことをまず説明し、この点は納得してもらうことができました。

次に問題となるのは、この学資保険の契約が、名義どおりAさんの財産であるとして、換価の対象となるのか、実際に保険料を支払っていた奧さんの財産であるのか、という点です。管財人は、名義を基準として換価する方針でしたが、実際にお金を出していた奧さんとしては納得できません。そこで、奧さん独自の収入により保険料を支払っていたことを裏付ける資料を揃え、管財人と協議したところ、解約返戻金の3分の1相当額を支払うことで、保険契約を財団から放棄するという和解をするに至りました。

このケースのように、実際に経済的負担をしていたのが別の人であっても、経営者名義の財産については、原則として換価の対象とされる傾向があります。したがって、破産申立前に、ご家族も含め、経営者名義の財産があるかどうかをチェックし、ある場合には、上記の様に管財人を説得できる材料を揃えるよう準備しておかなければならないでしょう。

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