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取引先への偏頗弁済と自由財産での弁済

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2016/04/04(月) 12:47:43

会社破産の相談を受ける際、多くの経営者の方は、会社に商品を納めてくれた業者や下請業者等の懇意にしていた取引先に対する買掛金を踏み倒すことについて苦悩されます。破産申立てを検討中の会社に対する依存度が高い取引先は、同社が破産することにより、例えば数か月分の手形が吹き飛ぶなどして、資金繰りが逼迫することは明らかです。こうなると、破産会社に対する依存度の高い取引先が、次々と連鎖的に倒産していくリスクが高まります。

会社破産を検討中の経営者の方において、このようなリスクを何とかしようと苦悩されることは、極めて当然のことかと思います。しかし、以前のブログ「(どうしても迷惑をかけたくない債権者がいる場合」)にて述べましたように、どのような事情があったとしても、会社破産を検討している段階で特定の債権者に対して買掛金等を支払うことは、「偏頗弁済」として許されません。したがって、このような取引先に対しては、実際に買掛金等を支払う以外の方法による配慮を考えなくてはなりません。では、どういった方法が考えられるでしょうか。

まずは、会社破産を検討するに至った時点から、仕入れをなるべく控えることが必要です。このような時点において、新たな仕入れを行うことは、取引業者からすれば不良債権を増加させるだけの詐欺的な行為と見えますので、特に注意する必要があります。

次に、取引業者の手形等の支払日より、できるだけ前に破産申立日を設定することが考えられます。というのも、破産会社への依存度が高い取引先は、同社からの入金日に合わせて手形等の支払日を設定していることが通常ですので、できるだけこの支払日より前に破産申立てを行い、金策等の時間を可能な限り確保できるようにする必要があるからです。

最後に、特に小規模で買掛金額がそれほど大きくない取引先に対しては、破産手続開始決定後に経営者の方が新たに取得した財産をもって支払いを行うことが考えられます。破産手続開始決定後に新たに取得した財産については、自由財産の一種になりますので(破産法34条1項)、これをもって一部の取引先に対して支払いを行うことは「偏頗弁済」に当たらず、何ら禁止されることはありません。

懇意にしていた取引先に対する配慮としてできることは必ずしも多くありませんが、連鎖倒産を引き起こさぬよう、事前に十分な対応を行うことは重要なことです。ただし、「偏頗弁済」を行わずに対応策を講じることは、専門的な知識を要しますので、是非事前にご相談いただければと思います。

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