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労働者健康福祉機構による立替払いの注意点

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2014/07/22(火) 10:23:40

今回は、従業員に対する賃金が未払いとなってしまった場合に、労働者健康福祉機構による立替払制度を利用する際の注意点について解説します。

退職した従業員がいる場合の期限

立替払制度については、労働者健康福祉機構による立替払制度で説明したとおり、この制度を利用するためには、労働者側の要件として、破産申立ての6か月前の日から申立ての日を挟んで2年間の間に退職したことが必要となります。特に廃業した会社では、従業員を雇用していた場合には、相談時には退職しているのが通常ですから、退職の時期を確認した上で、上記期限に間に合うように申立ての準備をすることが重要です。また、営業中の会社であっても、過去賃金が未払いとなったまま退職した従業員がいる場合には、同様の配慮が必要となります。
ご相談時に、上記期限が迫っていることが判明した場合には、最低限の準備を整え、破産申立てをした上で、他の書類については追って作成・提出するという扱いも検討されるところです。

取締役を兼務している従業員について

取締役を兼務している従業員であっても、従業員として扱われている者であれば、立替払いを受けられる運用となっていることは、こちらに記載してあるとおりです。
従業員として扱われているかどうかは、(1) 業務執行兼の有無、(2) 会社への出資の有無、(3) 勤務実態、(4) 給与額等の事情から判断されます。ぞれぞれについて、従業員性が否定される(つまり、立替払いを受けられなくなる)ほうこうに働く事情を具体的に例示すると、

  1. 役員会を定期的に開き、当該従業員が出席して意見を述べ、経営方針の形成に関与していたというような事情
  2. 当該従業員が会社に多額の投資をしていたというような事情
  3. 当該従業員の職務権限や裁量が広く、勤務の時間・場所等にも制限がないというような事情
  4. 当該従業員に経営者並の給与が支払われていたというような事情

となります。このような事情が一切ないとすれば、形式上は取締役として登記されていたとしても、立替払制度を利用できる可能性が高いでしょう。

なお、当事務所が扱った案件では、取締役として登記されていた上、工場長やエリアマネージャーとしての肩書き・勤務実態があった従業員についても、管財人に報告書を提出した上、立替払いを受けられるに至りました。

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