会社破産と代表取締役社長の自己破産や会社破産と連帯保証人の免責についてでも述べましたが、会社が金融機関から融資を受ける際、経営者の方は個人としてその債務の保証をしているはずです。
この経営者の保証に関し、日本商工会議所と全国銀行協会を共同事務局とする研究会が、平成25年12月5日、“経営者保証に関するガイドライン”を策定・公表しました。
このガイドラインは、大きく分けて、保証契約時等の対応と、保証債務の整理時の対応から構成されており、一定の条件を充たした企業については、経営者保証を求めないこととしたり、見直すこととしたりすること等を金融機関に求める内容となっています。このガイドラインには法的拘束力はありませんが、金融機関がこのガイドラインを尊重、遵守しない場合には、金融庁から業務改善命令が出される可能性もあるとされています。
最近、会社の破産を検討している経営者の方から、経営者保証ガイドラインにより、現在している自分の保証債務を外すことはできないか、というご相談を受けました。結論からいえば、会社が破産に瀕している状況で、経営者の保証債務のみ見直すというのは、ガイドラインの想定している場面ではないため、極めて難しいと考えられます。
では、ガイドラインの想定している場面はどういうものかというと、会社と経営者との資金のやりとりといった関係が明確に分けられていること、会社のみの資産・収益で返済が可能と判断できること等の要件を充たすことが必要となります。したがって、破産のように、返済を前提としない場合は、まずガイドラインによる保証の見直しはできないと考えられます。
これに対し、事業再生のケースでは、再生の手続と絡めて保証の見直しができる可能性もありますので、再建型の手続も選択肢に入るような場合には、ご相談いただければと思います。
日比谷ステーション法律事務所
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