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通販サイト運営会社の破産

通販サイト運営会社の破産手続において特徴的なのは,債権者として一般の消費者が多数含まれるという点です。 後に詳しく解説しますが,破産申立てをした会社が運営する通販サイトを申立ての直前に利用した顧客は,代金を支払ったにもかかわらず,商品を受け取ることができないという状況となってしまいます。そうすると,このような顧客は,会社に対し商品を要求する権利(商品引渡請求権)を持つ債権者として,破産手続に参加することになります。 また,破産手続の開始前に,注文は受けているものの,商品を発送していなかったというケースについては,顧客が代金を支払ったかどうか,仕入先から商品が納品されているかどうかによって,破産手続の開始後の法律上の扱いが異なります。その上,商品の性質や金額によって,実際上の処理方針にも違いがでてくることになります。

通販サイト利用者の対応に多大な労力を要する

上記のとおり,通販サイト運営会社の破産事件では,一般の消費者が多数含まれるという特徴があります。 通常,会社の破産事件で債権者となるのは,主に金融機関や買掛先といった事業者です。金融機関はもちろん,買掛先の業者についても,倒産がどのようなものか,自社の債権がどうなるのかについて,ある程度知識をもっているのが通常です。これに対し,一般の消費者のうち,破産手続に関わったことがあるという方はごく少数といえるでしょう。実際,債権者として扱われる通販サイトの利用者からは,裁判所から届く破産手続関連の書類が何なのかという問い合わせが殺到し,詐欺の一種ではないかと思われる方までいらっしゃいました。

また,会社の商号とは異なる店舗名で通販サイトが運営されているケースも少なくありませんが,破産手続関連の書類には,通常,会社の商号しか記載されていません。そうすると,これが自ら利用した通販サイトと結びつかず,身に覚えがない書類が届いた,と捉えてしまうのも無理はないといえるでしょう。 しかも,代金を支払い,商品が届くのを心待ちにしていたところ,これが届かないという事実を突然知らされるわけですから,感情的になられる方も決して少なくありません。

このように,破産手続に不慣れな債権者が多数いて,その問い合わせや苦情の処理に多大な労力を要するというのが,通販サイト運営会社の破産事件における最大の特徴といえるでしょう。 そこで,このような債権者の数が少なくなるようにしたいところですが,通販サイトを運営している以上,日々注文と入金はされてしまいますし,いきなり閉店をすると,従業員や関係者に不審に思われ,破産手続の準備を進めていることが露見してしまい,混乱が生じてしまうというリスクがあります。このリスクを抑えつつ,例えば商品を品切れの表示に切り替えるなど,発送できない注文の数を減らせるような手当を早めにしておくことが望ましいでしょう。

既に受けていた注文をどのように処理するか

会社が営業中に破産を申し立てる場合には,可能な限り受注を控えるのがセオリーです。しかしながら,秘密裏に破産申立ての準備を進めることとの兼ね合いで,直前の受注を回避できないケースは少なくありません。 このように直前に受けてしまった注文については,仕掛かり中の仕事として破産手続上処理されることになりますが,通販サイト運営会社のような小売業のケースでは,顧客から代金を受領しているか,仕入先から商品が納入されているか,という2つの観点から分析し,基本的に次のような処理方針となります。

1 顧客からの代金受領あり,仕入先からの商品納入ありの場合

この場合には,顧客は既に代金を支払ってしまっており,商品を届けられないのであれば,破産手続上,その商品の引渡請求権が破産債権として扱われることになります。このような金銭の支払いを目的としない債権については,破産手続開始時の価値により債権の額が評価されますが,価値の変動が激しい商品でないかぎり,支払った金額が破産債権の額となるのが通常です。

ところで,商品自体は破産会社の手元にあるため,破産会社にとって経済的負担とならないのであれば,破産手続開始後も,顧客に商品を届けることで,上記のような破産債権を減らせることになります。そこで,顧客が,着払いで商品を受け取ること,破産管財人がその商品について瑕疵担保責任を負わないことを承諾するのであれば,破産管財人を通して商品の発送が行われる可能性があります。

2 顧客からの代金受領あり,仕入先からの商品納入なしの場合

この場合は,顧客の商品引渡請求については上記1と同様ですが,商品が手元にないため,破産管財人を通して発送という可能性はありません。破産管財人が仕入先にお金を払って商品を仕入れても,配当の元となる破産財団は増えず,むしろ減ってしまうからです。

3 顧客からの代金受領なし,仕入先からの商品納入ありの場合

この場合は,商品が手元にあるため,顧客が従前どおり商品の発送を希望する場合には,破産管財人が代金を受け取り,発送するという可能性があります。代金分だけ破産財団が増えるからです。ただし,破産管財人が瑕疵担保責任を負わないことなど,破産手続開始前に会社との間で締結した契約とは異なる条件がつくのが通常です。また,あまりに小口の注文で,管財人の事務処理が代金に比して大きすぎる場合には,商品の発送はせず,売買契約を解除するという選択もあり得ます。このあたりは,商品の性質等によりケースバイケースとなるでしょう。

4 顧客からの代金受領なし,仕入先からの商品納入なしの場合

この場合は,前記3と異なり,顧客に商品を発送するには,破産管財人が仕入先から商品を納入してもらう必要があります。そこで,顧客と仕入先の意向を確認し,破産手続上問題が生じないような条件で双方との調整ができるのであれば,破産管財人が商品を仕入れ,顧客がこれを買い取ることができます。ただし,上記3と同様,破産管財人の事務処理に比して粗利が小さ過ぎる取引については,顧客と仕入先のいずれもが取引に応じる意向であっても,双方との売買契約は解除されるでしょう。

通販サイト運営会社の破産はいかがでしたか?

日比谷ステーション法律事務所では経験豊富な弁護士が通販サイト運営会社の破産を責任を持ってサポートさせていただきます。
初回のご相談・お見積りは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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